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新紙幣のデザイン

【デザイン】新紙幣のデザイン考察令和の刷新 渋沢栄一/津田梅子/北里柴三郎

名古屋市西区のWEB/ホームページ製作会社[Aki Web Design]です。

先日の令和の元号発表の記事に続いて速報とはできませんでしたが、発表を受けての記事です。

さて、時代が変わる時は色々なものが変更になりますね。
以下のように紙幣が刷新されるとの発表がありました。

“政府・日銀は2024年度前半に千円、5千円、1万円の各紙幣(日本銀行券)を一新させる。麻生太郎財務相が9日午前に発表した。刷新は04年以来。千円札の図柄は北里柴三郎、5千円札は津田梅子、1万円札は渋沢栄一になる。「平成」から「令和」への改元機運を盛り上げる。自動販売機などの関連需要が生まれるため、景気刺激の効果もありそうだ。
渋沢栄一は第一国立銀行(現在のみずほ銀行)など数多くの企業を設立し、日本の資本主義の父とされた。1万円札の図柄変更は1984年に聖徳太子から福沢諭吉になって以来となる。
津田梅子は津田塾大学の創始者で、特に女子の英語教育の指導に注力した。5千円札は現在の樋口一葉に続き、女性の図柄となる。
北里柴三郎は日本における近代医学の父として知られ、感染症予防や細菌学の発展に大きく貢献した。ペスト菌を発見した功績もある。
新紙幣には最新の偽造防止技術などを用いる。政府は5月1日から元号を令和とする発表に続いて、紙幣の刷新も発表した。心理面の好転を狙い、個人消費の喚起など経済効果も期待しているとみられる。(日本経済新聞)”


となると、もちろん、当事務所としては新紙幣のデザインが気になるわけです。

早速、確認してみました。


1.偉人の肖像掲載は継続。「重み」を継続したデザイン


上述のように今回の発表でも、人物変更こそあるものの肖像を載せるという方針は継続されました。後述する細かな差こそあれ、色味や透かしの内容など大きく要素の変更はない様子です。

キャッシュレスの時代にも紙幣を「高貴」なものと捉え、革新性よりも継続性、国民の既存イメージを崩さないこと、を優先したデザインであると思います。

紙幣のデザインについては、独立行政法人国立印刷局の木内氏が行った「紙幣のデザインにおける社会との関係」という発表にも以下のように記されており、

“民族的な趣向の違いはあるが、どの国の紙幣においても、他の商業印刷物には見られない幾多の特徴があり多くの人は自国の紙幣のデザインに対し“重み”を感じると言われている。こうした特徴は紙幣に限ったものではなく、保険証書、免状、各種有価証券等のデザインにも同じような特徴がある。すなわち、人々は高級または高貴な物品のデザインに、紙幣のデザインにあるような“重み”を望んでいるとも言える。”

これは、高級品のホームページを作る際に、当事務所が受けるリクエストや採用される提案とも一致しており、デザイン事務所の人間であれば肌感覚で認識できます。

また、同発表は以下のようにも述べています。

“紙幣のデザインは、外来技法に混ざって日本古来の様式が加味され、近代化以後に確立された“和式”とも言うべき日本国独自の様式であることが分る。こうした独自の様式が国民に広く定着し、無意識的にこのような図柄を「お札らしい」デザインと認識するようになったと考えられる。”

お金の専門家ではないので詳しい記載はしませんが、紙や金属に政府が重みづけを与えることで成立しているものが「お金」ですよね。世界的にみても日本はそのお金、というか政府への信頼が厚い国です。「円」は基軸通貨として成立しておりその資産性を疑うことは少ないです。

大手ニュースサイトのコメント欄を見るとあんまり変わってなくてつまらない、というコメントもありましたが、世界的にも稀なレベルでせっかく成立しているその信用にリスクを与えない、お札らしさを失わせない、という点で継続を重視したデザインになるのは当然のことかもしれませんね。

なお、逆に紙幣らしくないデザインって何?と思われた方もいるかもしれませんが、実は以下のような紙幣もあります。


画像引用:https://casabrutus.com/architecture/92435

これはノルウェーの紙幣ですが、デザインしたのがなんと建築事務所、ということでちょっと話題になりました。日本では考えにくいですね。

よければ「スノヘッタ紙幣」で検索してみてください。


2.明るめの色彩はまるでユーロのよう



私が今回の新紙幣デザインを一目見たときに思ったのは「ユーロみたい」ということです。

各紙幣で色を変え、多色展開にしつつも明度と彩度を合わせることで統一感を図り、橙、緑や紫といった中間的な色を淡く用いることで柔らかさを出しています。

そのことで、肖像のインパクトやお金であるといったイメージの重みを多少なり中和されています。1の記述とは相反しますが、思いだけではなく「親しみやすさもないといけない」といったところでしょうか。

多くの人が毎日のように使うものでありますから、こちらも当然かもしれません。

とはいえ、印刷となると鮮やかな色を使用し、印刷後にも正しく発色させるには相応のコストがかかります。ましてや各紙幣を見るとそれぞれに多色が入っているようです。

1枚あたりにするとわずかなコスト差でも、長い年月で膨大な枚数をするわけですから、色味の選定はとても重要になります。

ユーロの色彩が明るく、色彩豊かであると感じる理由は、比較的新しい紙幣であり進歩した印刷技術を前提にデザインが施された(前例のない通貨なのでその色彩を用いても許された)ということが挙げられると思います。

今回の新紙幣は、そういった意味でユーロのように色彩豊かなものに仕上がっていると思いました。

今後の紙幣の潮流は、国際的にもきっとこのように多色展開になっていくのでしょうね。


3.数字をはじめとするフォントは現代的に



また、とりわけ裏面の大きめの数字や0と1の文字間隔など、フォントがとても現代的です。

各数字には影がなくフラットかつ、数字の太さも均一、と、いわゆるフラットおよびユニバーサルデザインというやつです。

数年前に当事務所ブログでもグーグルがフラットデザインを採用した旨を書きましたが、ついにお札にまでその流れが来てしまいました。

確かに、ここだけ単体を見るといい感じなんです。国際的な潮流なので日本も乗っておいていいと思います。

ただ、「千円」「五千円」「日本銀行券」といった漢字については隷書や明朝系、フォントに統一性がないので、そのことへの批判意見はあがるでしょうね。。。

筆文字文化だった日本の紙幣なので「らしくない」という指摘も絶対出ると思います。

デザイナーがどのように考えてこの方向に振ったのか、一度意見を伺ってみたいものです。

■2019/04/09追記:やはり批判意見、出たようです。
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1904/09/news125.html
あと見逃してましたが1万円札と1000円札とでは額面数字の「1」が違いますね。なるほど。

4.五千円札、津田梅子氏の肖像配置が気になる


ちょっと長くなってきたので、次の一点で終わりにしましょう。

一万円札のホログラムの縦配置および全体の右寄せなども考察入れたいですし、一万円、千円の透かし位置の上寄せなども気になりますが、一番気になるのは「五千円札、津田梅子氏の肖像配置が上に寄りすぎ」ということです。

これは、ちょっとどうなんでしょうか。枠を突き出てますもんね。
先日のドイツ時計のデザインも同じようなことを書きましたが、今回は3紙幣出てるにもかかわらず五千円札だけですからね。

五千円札はアウトロー的な存在だとでも主張したいんでしょうか、そんな訳ないですよね。

髪結いのこの写真をチョイスしたのは色々な事情があるとしても、もう少し大きさと位置を調整できなかったのか、と思ってしまいます。

現紙幣でも肖像は枠の外に出てますが、こちらは全員なのでそういうデザインとして統一感があります。 今回、この3枚を見せられると五千円札の違和感が半端無いので、ちょっとどうかなと思いました。

5.新紙幣の使用は5年後の2024年度から


新紙幣は2024年度の上半期をめどに発行されるとのことで、入換期間を考慮すると少なくとも今から数年〜10年程度は現紙幣が残ることになります。

その間、徐々に我々もこの紙幣を見慣れて、生活に馴染んでいくことでしょう。

最初にも書きましたが、キャッシュレスの流れが進んではいるものの、未だ紙幣は生活に根ざしてますし、最も身近で多くの人に影響を与えるデザイン物なのかもしれません。

しかもそうそう簡単には変えられず、長い期間にわたって使われ続け、かつ、国の威信を背負っているものでさえあります。

時代の流れを読みつつそれらを踏まえたデザインをするということは、想像できないくらいの思考と実践を繰り返したことだと思います。

どなたがなされたのか存じませんが、それらのプレッシャーに応え今回の発表に至ったデザイナーさんには敬意の念を持ちつつ、新紙幣の流通を楽しみに待ちたいと思います!

 今日はここまでです。またの更新でお会いしましょう。 

ひろたか

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